Color Management 2.7
カラーマネージメント
カラーマネージメントは、アーティストが使用できる最も重要なツールの1つです。これは、アーティストがレンダリングから保存、後処理まで同じイメージを維持することを可能にします。カラーマネージメントによって、アーティストは露出やガンマ、全体的なカラーグレードの調整も可能とします。
Blender でカラーマネジメントを実現するために、OpenColorIO(OCIO) ライブラリが Blender 内に統合されました。このライブラリは、様々な LUT を細かく制御し、独自のカラープロファイルセットを統合して、他のソフトウェアとのリニアライズ作業を維持することができます。
シーンのリニア色空間
正しい結果を得るには、 画像の表示と保存のレンダリングには異なる色空間が必要とされます。レンダリングと合成は、より自然な調和とより物理的に正確な計算を行うリニア色空間で最もよく行われます。

リニアワークフローの例
色がリニアの場合、実際には光子の数が 2 倍になると、色の値も 2 倍になります。別の言い方をすれば、2 つのライトのうち 1 つずつをオンした状態での写真/レンダリングがあった場合、それらの画像を 1 つに合成した結果は、両方のライトをオンにした状態の写真/レンダリングと同じになります。このような放射照度のリニア空間は、フォトリアリスティックなレンダリングと合成に最適ということになります。
しかし、これらの値は、人間の知覚や表示装置の動作方法に直接対応するものではなく、画像ファイルは異なる色空間に記憶されることが多いため、このリニア色空間への入出力を正しく変換するように注意しなければなりません。
設定

カラーマネージメントのためのシーン設定を行います。
Display
レンダリングの正しい表示には、ここで設定できる表示デバイスの色空間への変換が必要です。コンピュータモニタは、デジタルシネマプロジェクタ HDTV とは異なった働きをします。シーンプロパティには次の設定があります。
Display Device
イメージが表示されているデバイスを設定します。

リニアからディスプレイデバイス空間への変換。
sRGB
ほとんどのコンピュータモニタは sRGB カラースペース用に設定されているので、コンピュータで作業するときは通常このオプションはデフォルト (sRGB) のままにしておきます。コンピュータに接続された別のディスプレイデバイスでイメージを表示するとき、または別のデバイスに表示するためのイメージファイルを書き出すときに変更します。
Rec709
一般に HDTV 用に使用されます。
XYZ
デジタルプロジェクタ用に使用されます。
None
カラーマネージメントを無効にすることができます。
Render
レンダリングには芸術的な選択項目もあります。まず、表示デバイスは色の全スペクトルを表示できず輝度も限られているため、デバイスの色域に合わせて色を絞り込むことができます。それ以外にも、例えば実際のフィルムに焼き付けられているかのように、レンダリングに特定のルックを与えることも有用です。
その他の一般的な使用例は、レンダリングを精査したり、暗い影や明るいハイライトの細部を表示したり、レンダリングエラーを特定する時です。このような設定は一時的にしか使用されず、最終レンダリングには使用されません。
View
同一の表示デバイスにイメージを表示する方法を設定します。
Default
表示デバイス用の変換以外の変換は行われません。
Filmic
よりフォトリアリスティックな結果のため、また高いダイナミックレンジのより良いハンドリングのための設定。コントラストは、フィルムビュー変換の Look オプションを変更することで調整できます。
詳しくは Filmic を参照してください。
RRT
ACES (Academy Color Encoding System) 参照レンダリング変換 (RRT : Reference Rendering Transform) を使用して、フィルムのようなルックをシミュレートします。
Film
フィルムエミュレーションと呼ばれる技法を使用して、レンダリングにフィルムベースのカメラから期待されるものと同様のルックを与えます。これは、通常、画像の黒を潰し、コントラストを減少させることによって行われます。
Raw
イメージの精査用で、ファイナルエクスポート用ではありません。Raw は、色空間の変換が行われていない画像を表示します。
Log
イメージの精査用で、ファイナルエクスポート用ではありません。Log は Raw と同様の働きをしますが、非常に暗い部分や非常に明るい部分がない場合は、画像をよりフラットに表示します。
False Color
ダイナミックレンジを視覚化するために、画像強度のヒートマップを表示します。
詳しくは Filmic を参照してください。
同一レンダリングによる View での違い:
Exposure
露出。色空間変換前に適用された画像の明るさ(ストップ)を制御するために使用します。これは次のように計算されます。
output_value = render_value × 2(exposure)
同一レンダリングによる Exposure での違い:Default View
同一レンダリングによる Exposure での違い:Filmic View
同一レンダリングによる Exposure での違い:False Color View
Gamma
色空間変換後に追加のガンマ補正を適用します。デフォルトの sRGB または Rec709 の色空間変換には、既に Raw および Log ビューを除いて約 2.2 のガンマ補正が含まれているので、これに追加で補正されることに注意してください。
同一レンダリングによる Gamma での違い:Default View
同一レンダリングによる Gamma での違い:Filmic View
同一レンダリングによる Gamma での違い:False Color View
Look
特定のフィルムタイプのルックを大まかにエミュレートする、測定されたフィルムレスポンスデータのセットから芸術的な効果を選択します。色空間変換の前に適用されます。
Use Curves
RGB カーブを調整して、色空間変換の前に画像の色を制御します。カーブウィジェットの使い方の詳細をお読みください。
Sequencer
Color Space
シーケンサが動作する色空間を設定します。デフォルトでは、シーケンサは sRGB 空間で動作しますが、コンポジットノードや別の色空間などのリニア空間で動作するように設定することもできます。異なる色空間は、色補正、クロスフェードや他の操作のために異なる結果をもたらします。
- 最終更新:2018-10-25 16:07:02